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zoom RSS 『One』一の世界 39

<<   作成日時 : 2007/10/04 22:02   >>

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ナリタ連山における日本解放戦線殲滅作戦は、ブリタニア軍の圧倒的勝利で終わった、とは後にされた公式発表によるものである。

だがコーネリアにとっては屈辱の戦いであり、ゼロの奇襲により自らの戦歴に汚点を残した一戦であった。

正攻法の戦術に則り、敵を圧倒的に上回る兵力を投入したにも拘らず、ゼロの出現により、自軍の中核に当たる部隊を一つ失くし、更にコーネリア自身窮地に追い込まれた。
部下である俺がゼロを倒したことでコーネリアの面目は保たれた訳だが、それでも当初の目的の一つしか達成されなかった。

一つ目の日本解放戦線を叩き潰すことは達成されたが、もう一つの目的、日本解放戦線とNACとの繋がりは土砂に埋もれてしまった。
決め手となる証拠を得ることが出来ず、更に敵将片瀬もブリタニア軍を巻き添えに華々しく戦場で散った。

コーネリアにとっては苦い結果であったが、プラスαとして、クロヴィス前総督を殺害したゼロを倒すことは出来た。
これは皇族としての面目を晴らし評価されるところである。

全てが俺の思惑通りにことが運んだ。

コーネリアの力を削ぎ落とし、付け入る隙を作ることに成功した。
邪魔な片瀬は消し、藤堂という新たな駒を手に入れた。
ゼロを倒したことでコーネリアの信頼を得、副総督としての地盤を固めた。

「君って、怖いね。恐ろしいほどに冷酷だ。」

G1ベースの副総督の私室でスザクが俺に発した第一声がこれだった。

「今更じゃない?」

付き合い長いのにとカレンがスザクの神経を逆なでするように口元を吊り上げ笑う。
スザクは日本解放戦線の片瀬を藤堂に始末させようとしたことが気に入らないようだった。

「あれは必要なことだったのさ。どうせ片瀬には生きる道はない。何も喋らず消えることを皆望んでいた。俺も、桐原も。藤堂とて解っていたさ。感情がついてこなかっただけだ。」

片瀬のような不要な駒を有益に使うのに、最良の選択であったのに。
スザクの翡翠の瞳が暗い。
納得していないとその顔が雄大に物語っている。
曲がったことが嫌いで妙に頑固なスザクに、納得するまで説明しなければならないのかと、俺は大きく溜息をついた。

「藤堂は自ら考え動ける駒だ。新生日本には必要な男だよ。俺がブリタニア皇室に戻った以上、いつまでもこの地にいられるか解らないからな。」

誰かの所為でとさり気なく付け加えておく。
俺がコーネリアに見つかったのは、元をたどせばスザクのせいなのだから。
スザクがうっと詰まり苦笑いをする。

「スザク、お前とて同様だ。ブリタニア軍人なんだからな。それも特派だと?シュナイゼルの部下?腹立たしい!一番厄介な部隊に所属してっ。」

この際だから、俺はふつふつと湧き上がる怒りをぶつけてやった。
スザクは先程までの硬質な態度を消し、済まなそうに肩を窄めた。
カレンが声を押し殺し、肩を揺らしている。

非難めの眼差しでカレンを一瞥した後、スザクが話を戻した。

「で、藤堂さんをあそこまで追い詰める必要があった訳?」

「そうさ、あれでいいんだよ。藤堂が手を下せないことは始めから解っていた。俺だって本気で藤堂に片瀬を始末させるつもりはなかったさ。」

俺はさらりと内情を教えてやる。

「猛虎の牙を全て抜く必要はない。誰が主人か解らせるだけでいいんだよ。だが従順になる必要はない。猛虎の猛々しさはそのままに手に入れたかったのさ。」

つまりけじめをつけられず生かされた藤堂は、負い目を感じて俺に従わざるをえない、と俺は心の中で付け足した。

スザクの翡翠が再び影を落とす。

嘗ての師を罠に嵌めたのが気に入らないのだろう。
ブリタニア相手に正攻法で太刀打ち出来る訳ないのに。
困った奴だ。

だが俺はそんなスザクをさほど気にも留めずに遣り過ごした。
足場は出来た。
これから租界に戻りやるべきことは山のようにあるのだ。
頭を切り替え、今後のことに思いを馳せた。

そしてこの時、この戦いの真の勝者は俺といっても過言ではない、そう思っていた。
クラブハウスに帰るまでは。





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頑固者スザク。

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